政府からの発表
4月19日に文部科学省が公式発表を行い、2020年からの小学校でのプログラミング教育を必修化する方向で検討するとの事。
ソース:日本経済新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ4M5D4GJ4MUTIL044.html
展望
今回のプログラミング教育のトピックは、何より学校外の企業や団体が公教育へ参入することが前提となっている事が、公教育の歴史上で過去に事例がないという部分が大きなトピックである。総務省が主導している部分でこの流れは既定路線と言える。既に多くの実践や研究が行われているのも公教育以外の部分で、どのように連携の形をつくっていくのかがポイントになる。
課題
課題だらけと言われているが3点に注目できる
①連携の方法
学校の担任がT1になるのか?補助になるのか?時数の確保など。
②指導者の養成
児童の実態を踏まえて指導をしなければならないので、外部講師がT1になってよいのか?担任が指導するのであれば必要な講習を受けなければいけない。その研修は誰が(全ての教員?)受けるのか?
③カリキュラム・内容
学習を通して、どのような力をつけさせるのか?その評価は?扱うプログラミング環境は?
以上についての現段階での私の意見を書いてみたいと思う。小学校に限って言えば①②については総合的な学習の時間の中で(コアになる内容で!)年5時間程度を確保できれば十分だと考える。他教科も時数が必要であり圧迫はできない(現場の反発も大きいと思う)。その中で理想としては担任がきちんとプログラミングの最低限抑えるべき部分を研修等で学び、T1として教えるのがよい(これは絶対そうした方がよい)。外部から来る指導者が初等教育の基本を研修で学ぶよりも短い時間の研修で済むという部分と児童への責任をきちんと担任が負うことも必要。小学校で扱う程度のプログラミングの基礎基本であれば実時間で10時間程度あれば(逐次・繰り返し・変数)くらいは使えるようになる。
③については様々言われているが、プログラミング教育で養うことができる力は私は以下のようなものだと考えている。
1「自己研鑽力」
2「ルール適応力」
3「根回し力」
課題解決力とか、クリエイティブな・・など、様々なうたい文句が出されているが、小学校の段階で、それは計れないし、もし力がつくと想定しても、十分にプログラミングできるようになって、その先で養われるかもしれない(程度の)力だと思う。
1「自己研鑽力」は、プログラミング教育の個別学習的な側面の良さで、通常学校教育では、教師と生徒。もしくは教師と教科書と生徒という関係で双方向的なやりとりを繰り返す。だがコンピュータプログラミングは、生徒が目指す実行結果になると思って書いたコードについて、答えを実行結果としてコンピュータが何度でも返してくれるという個別学習的な側面がある。何度も何度でも、「自分自身の予想を試すことができる」のが、他の教科学習との大きな違いである。その良さを授業プランの中に生かさない手はないし、何度も繰り返して自分自身と向き合う事で、間違いなく養われる力と言える。
2「ルール適応力」は、どのようなプログラミング言語であっても仕様書があり、仕様書のルールに適応することがプログラミングを習得と同義と言える。遊びのルールに適応した子は、そのルールの限界の部分で工夫をして遊びを楽しむことができる。英語などの外国語も、様々な型があって、誰もがそのルールに適応しようとしているわけである。社会全体も実はルールだらけで、私はプログラミングを習得することもそのルールの1つに適応する訓練と位置付けることができると考えている。
3「根回し力」は、プログラミングの基礎を学んだ後に必要になる力で、協同的な学習を通して1つの成果物を作るような課題を出された時に、書くコードの仕様を決めたり、扱う変数の型を揃えたりする必要に迫られることになる。適切な授業プランで「根回し」が必要な学習内容づくりが、友達と「どうする?こうしない?」を生み出す事につながると考える。
様々な人たちが、様々な意見を言っている段階だが、一先ずニュースが出された段階での「間違いなくプログラミング教育で養う事ができる力」について私の考えをまとめてみました。
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